立坑ケージのお話の続きです。 →【その1】からご覧ください。
こちらが立坑ケージの模式図です。
弊社にある立坑施設をもとに作成しました。
立坑施設は、垂直なトンネルの立坑、ケージを吊る立坑櫓、ケージの上げ下げを行う巻室(まきしつ)の3つで一式です。
立坑櫓の形やケージのサイズなどに違うはあるものの、全国各地にあった鉱山の立坑施設も、設備の仕組みや動作原理はだいたい同じです。
次に内部構造の模式図をご覧ください。
巻室に設置された巻上機には、ケージと重り、2つの物体がワイヤーで繋がっています。また、立坑櫓の上には2つの大きなプーリーによって、ケージと重りは吊り下げられています。巻上機に設置されたモーターで巻き上げたり、巻き戻したりすることで、ケージをあげたり、重りを下げたりしています。
例えば、ケージに人員や資材を積んで地下坑道に下りる場合、ケージへの積み込みが完了したら、巻上げ機で重りを釣り上げると同時に、ケージを地下坑道へ下ろします。
逆に、地下坑道から人員や鉱石を積んで地上に上がる場合は、巻上げ機でケージを引っ張り上げると同時に、重りを地下に向かって下ろします。
これら一連の運転操作をするのが、巻上室の運転席です。
弊社の巻室にある運転席はこんな感じです。
こちらが立坑櫓の上にあるプーリーです。
こちらが地上の積み込み口です。
鉱車(鉱石を積む貨車)用のレールが敷かれています。
こちらがケージが上下する垂直坑道です。地下113mの深さがあります。
そして、ケージが下がってきた地下坑道の積み込み口です。
ケージが地上に上がっている場合は、地下に重りが下りています。
こちらが重りの様子です。
以上が、立坑ケージの動作原理と各施設の様子でした。
さて、問題はここからです。
40年近くの間、故障もなく使い続けた立坑ケージ、おそらく日本で唯一の現役立坑ケージだと思うのですが、残念ながら昨年11月に故障してしまい、現在修理待ちの状態なんです。
一刻も早く修理したいのですが、そもそも修理ができる職人さんがいないそうなんです。
次回はそのあたりについて書く予定です。
弊社は、鉱山としての歴史は約70年と比較的浅いほうですが、皆さんが想像するような鉱山らしい鉱山施設がかなり残っています。しかもそれらの多くが現役です。
私は趣味で、日本中の鉱山や鉱山博物館を巡っていますが、弊社で今でも普通に使っている道具や設備が、すでに博物館の展示物となっていたりするので、何だか不思議な気持ちになります。
さて、そんな鉱山施設の中でも、いかにも鉱山らしい代表的な施設として、立坑ケージがあります。「立坑」は「たてこう」と読みます。鉱山によっては「竪坑」と書いている場合もありますね。要は縦方向、垂直方向に掘られたトンネルで、ケージと呼ばれる一種のエレベーターで鉱石や人員の運搬を行う施設です。
立坑はこの他にも、地下の坑内で利用する削岩用の水や圧縮空気の配管や高圧電線、非常用の避難通路(つまり非常階段)なども兼ねています。
立坑の上部には、ケージを吊るための立坑櫓(たてこうやぐら)がそびえ立ちます。鉱山の真ん中に立ち尽くす巨大な立坑櫓は、まさに鉱山の象徴です。福岡県志免町に残る志免炭鉱や、北海道三笠市の奔別炭鉱の立坑櫓は、その独特の景観が有名で、国や地域の産業遺産として大切に保存されています。
旧志免鉱業所・竪坑櫓(福岡県志免町)
旧住友奔別炭鉱立坑櫓(北海道三笠市)
さて弊社の立坑櫓ですが、とても小さくていかにも零細鉱山らしいものですが、設備や仕組みはまさに立坑そのものの本格派です。私が聞いたところによると、福島県の常磐炭鉱が閉山した際に、先々代の社長が設備一式を買い付けてきたようで、鉱山施設の施工を手がける大手工営会社に設置してもらいました。昭和52年ごろのようで、意外と新しいです。
弊社の立坑櫓と巻室
弊社の立坑ケージは、一見古くさく見えますが、現在も使用中です。といいたいところですが、実は問題が…。
そんなわけで、これから数回に分けて、弊社の立坑について書いていきます。
次回は、立坑の仕組みなどもご紹介します。
昨年夏に注文した新しいホイールローダーが、ようやく入荷しました。
今回導入したのは日立建機さんの「ZW140-6」です。オレンジ色のコーポレートカラーが独特です。昨年秋にモデルチェンジされた最新モデルですが、その新車のキャビンをバッサリ切り捨てて、屋根を低くしています。地下坑道で使うので、背の高いキャビンは不要なためです。
その他にも、外装については地下坑道での仕様を考慮した改造が施されています。とはいえ、足回りやバケットなどは純正のままです。
新しい重機が入った際は、こうやってお酒をかけて清める儀式をやります。なぜかは知りませんが、他社さんの重機を入れた際もやりました。日本酒独特の香りが漂います。僕は大好物ですが、うちはみんな下戸ばかりで苦手みたいです。
地上でしばらく導入の準備を行ってから、坑内に入れて実際の作業に投入する予定です。新車ピカピカの姿が見られるのは今日限り、あっという間に陶石や粘土でドロドロの車体になります。20年は働いてもらうつもりです。大事に使おう!
土橋珪石の特性がわかるデータとして、気孔率、吸水率、比重をご紹介します。データは、弊社の珪石をすでにご利用のユーザー様よりいただきました。
|
サンプル№
|
見かけ気孔率
(%)
|
吸水率
(%)
|
見かけ比重
(g/cm3)
|
嵩比重
(g/cm3)
|
土橋珪石1級
|
1
|
11.96
|
5.36
|
2.54
|
2.23
|
2
|
11.15
|
4.94
|
2.54
|
2.26
|
3
|
8.13
|
3.49
|
2.54
|
2.33
|
平均
|
10.41
|
4.60
|
2.54
|
2.27
|
参考として、中国産珪石、徳島珪石のデータも掲載します。
|
サンプル№
|
見かけ気孔率
(%)
|
吸水率
(%)
|
見かけ比重
(g/cm3)
|
嵩比重
(g/cm3)
|
中国産
珪石
|
1
|
1.21
|
0.47
|
2.61
|
2.58
|
2
|
1.14
|
0.44
|
2.60
|
2.57
|
3
|
0.93
|
0.36
|
2.58
|
2.58
|
平均
|
1.09
|
0.42
|
2.60
|
2.58
|
|
サンプル№
|
見かけ気孔率
(%)
|
吸水率
(%)
|
見かけ比重
(g/cm3)
|
嵩比重
(g/cm3)
|
徳島珪石
|
1
|
0.63
|
0.24
|
2.60
|
2.60
|
2
|
0.64
|
0.25
|
2.57
|
2.57
|
3
|
11.32
|
4.81
|
2.35
|
2.35
|
平均
|
4.20
|
1.77
|
2.51
|
2.51
|
土橋珪石、中国産珪石、徳島珪石の3つを比べた場合、見かけ気孔率、吸水率の点で、土橋珪石は顕著な特徴が見られます。土橋珪石は気孔が多いことから、粉砕効率も高いという特徴があります。こうした特徴を活かして、用途を広げていけたらと思っています。
本年もよろしくお願い申し上げます。
写真は、弊社の山神社です。営業初日は坑員全員でお参りします。
祀ってあるのは、伊予・大三島の大山祇神社におられる
「大山積神(おおやまつみのかみ)」です。
1月4日に、大三島にお参りして、新しいお札を頂いてきました。
弊社は、1月5日より営業開始です。今月は1月6日(土)も営業日ですが、
7日(日)8日(月)が公休日で、9日(火)が地元の「山の日」のため、
またまたお休み。つまり、明日から再び三連休です。
山の日というのは、この地域独特の祝日で、蝋石鉱山のみがお休みです。
昔聞いた話では、この日にどこかで事故があって、以来、お休みにしたとか。
本当かどうかわかりません。
ともあれ、すでに鉱山自体が少なくなっているので、
お休みをとる会社も少ないのですが、弊社は今も伝統的にお休みです。
ちなみに、私は当日は出張でお休みではありません。ちょっと残念!
弊社鉱山は、陶石・蝋石の採掘がメインの鉱山ですが、鉱床の成り立ちから大量の珪石も採掘できます。
珪石自体は、日本じゅうどこでも採掘できる、ごくありふれた鉱物で、いわば単なる石(SiO2)にすぎませんが、珪石の性質や見た目、特徴は産地によって千差万別、実にさまざまです。そのため、工業製品として用途も産地によって様々な使われ方をしています。工業用途で採掘される珪石の多くは、セメントやコンクリートの骨材として使われていますが、その他にも、建材ボード、農薬の基剤、不定形耐火物などがあります。
そのような中で、弊社の珪石は、主に農薬の基剤と耐火物パウダー(CCパウダー、連続鋳造パウダー)として使われています。色が白く、珪石としては大変粉砕がしやすいこと、SiO2が97〜99%とかなり純度が高いこと、またミクロのレベルで見ると、表面に細かい穴が空いている、いわゆるポーラス状になっているのが大きな特徴です。
ということで、走査型電子顕微鏡(SEM)で見てみた土橋珪石の画像をお見せいたします。
ご覧の通り、やたらと隙間が多く、水分や油分を吸収する力があると考えられます。
実際、採掘したあとに地下坑道に長期間貯鉱していると、坑内の湿気を吸ってしまって、大型のクラッシャーで採掘しづらくなることがあります。そんな場合は、数日間、地上で晒してやると、あっという間にカラカラに乾燥します。カラカラになれば、粉砕は容易です。
このちょっとユニークな性質が、何かの製品にお役に立てばと思っています。