鉱山ブログ
NEU」のサイトより転載しています。
弊社鉱山のある備前市はご存じの通り、日本六古窯の一つに数えられる備前焼の産地です。そもそも、この地に備前焼があったこと、また製鉄に必要な耐火煉瓦の原料となる蝋石があったことで、明治以降今日に至るまで、耐火物の一大産地となりました。
ただし、三石の蝋石自体は備前焼にはなっていません。備前焼は備前市内の特定地域の田んぼや畑の下に付帯する赤土などを主な原料としており、窯から出した際の色合いも赤茶色が多く、蝋石のような真っ白さはありません。
この地で蝋石が採掘されるようになって100年以上経ちましたが、三石蝋石を備前焼に使ってみる、といった試みはあまり行われていませんでした。
ところが近年、若手の備前焼作家さんを中心に、三石蝋石を使った、これまでにない備前焼への挑戦が始まっています。 そうした取り組みの一つが、山本周作さん・領作さんの二人が立ち上げた「出製陶(いずるせいとう)」による新プロジェクト「NEU(ヌー)」です。最近公開された「NEU」のサイトから、いくつか写真を拝借しましょう。
どうですか? すごくかっこいいですよね。
備前焼の土と弊社・土橋鉱山から採掘された土橋蝋石を調合した、独自の坏土が特徴で、デザインもモダンです。普段使いの食器として、生活に溶け込む備前焼を志向した作品となっています。
今後出てくるラインナップです。「NEU」のサイトより転載しています。
備前焼というと、僕のイメージは赤茶けた灰皿や花器のイメージで、コーヒーを飲んだり、カレーを食べるにはちと使い勝手がよくないイメージでした。でも「NEU」の作品群を見ると、普段のちょっとした食事に使えそうで、とても楽しみです。
自分たちが毎日、地下の坑道で掘り出している蝋石がそのまま食器になるなんて、何だか不思議な感じです。これまでも、弊社の石はホテルディナーの食器やティーセット、ホームセンターの土鍋などにも使われているのはわかっているのですが、今回の「NEU」はより身近に感じますね。
なお、「NEU」に使われているのは、弊社で採掘しているパイロフィライトという名の蝋石です。パイロフィライトの原石を水簸加工した微粉砕品である「蝋石クレー」が今回の坏土として調合されています。ご興味のある方は弊社までお問い合わせください。
ちなみに、弊社の主力であるセリサイト系の蝋石、いわゆる「陶石」とはまた別の原料です。陶石は、その名の通り、陶器・陶磁器の原料としてご利用いただいてますが、こちらは工業製品としての陶器、陶磁器での利用がメインです。
セリサイトは焼成した際の焼き締まりがかなり強いため、手作りベースでの陶芸ではやや扱いが難しいかもしれません。これまで陶芸家さんとのやり取りでわかってきたことですが、単純に白い器を作るならば、パイロフィライト系の「蝋石」を使った方が無難なようです。
パイロフィライト系、セリサイト系のいずれについても、微粉の製品を弊社でも取り扱っているので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
「NEU」はまだプロジェクトが立ち上がったところで、販売などは始まっていません。販売が始まったら、またこちらでご案内いたします。