鉱山ブログ

おそらく日本最後の現役「立坑ケージ」復活なるか?【その2】
2018年3月30日 | カテゴリー: 鉱山記事

立坑ケージのお話の続きです。 →【その1】からご覧ください。

 

こちらが立坑ケージの模式図です。

弊社にある立坑施設をもとに作成しました。

立坑施設は、垂直なトンネルの立坑、ケージを吊る立坑櫓、ケージの上げ下げを行う巻室(まきしつ)の3つで一式です。
立坑櫓の形やケージのサイズなどに違うはあるものの、全国各地にあった鉱山の立坑施設も、設備の仕組みや動作原理はだいたい同じです。

 

次に内部構造の模式図をご覧ください。

巻室に設置された巻上機には、ケージと重り、2つの物体がワイヤーで繋がっています。また、立坑櫓の上には2つの大きなプーリーによって、ケージと重りは吊り下げられています。巻上機に設置されたモーターで巻き上げたり、巻き戻したりすることで、ケージをあげたり、重りを下げたりしています。

 

例えば、ケージに人員や資材を積んで地下坑道に下りる場合、ケージへの積み込みが完了したら、巻上げ機で重りを釣り上げると同時に、ケージを地下坑道へ下ろします。

 

逆に、地下坑道から人員や鉱石を積んで地上に上がる場合は、巻上げ機でケージを引っ張り上げると同時に、重りを地下に向かって下ろします。

これら一連の運転操作をするのが、巻上室の運転席です。
弊社の巻室にある運転席はこんな感じです。

 

こちらが立坑櫓の上にあるプーリーです。

 

こちらが地上の積み込み口です。

鉱車(鉱石を積む貨車)用のレールが敷かれています。

 

こちらがケージが上下する垂直坑道です。地下113mの深さがあります。

 

そして、ケージが下がってきた地下坑道の積み込み口です。

ケージが地上に上がっている場合は、地下に重りが下りています。
こちらが重りの様子です。


以上が、立坑ケージの動作原理と各施設の様子でした。

さて、問題はここからです。
40年近くの間、故障もなく使い続けた立坑ケージ、おそらく日本で唯一の現役立坑ケージだと思うのですが、残念ながら昨年11月に故障してしまい、現在修理待ちの状態なんです。
一刻も早く修理したいのですが、そもそも修理ができる職人さんがいないそうなんです。
次回はそのあたりについて書く予定です。