鉱山ブログ

おそらく日本最後の現役「立坑ケージ」復活なるか?【その1】
2018年3月17日 | カテゴリー: 鉱山記事

弊社は、鉱山としての歴史は約70年と比較的浅いほうですが、皆さんが想像するような鉱山らしい鉱山施設がかなり残っています。しかもそれらの多くが現役です。

私は趣味で、日本中の鉱山や鉱山博物館を巡っていますが、弊社で今でも普通に使っている道具や設備が、すでに博物館の展示物となっていたりするので、何だか不思議な気持ちになります。

 

さて、そんな鉱山施設の中でも、いかにも鉱山らしい代表的な施設として、立坑ケージがあります。「立坑」は「たてこう」と読みます。鉱山によっては「竪坑」と書いている場合もありますね。要は縦方向、垂直方向に掘られたトンネルで、ケージと呼ばれる一種のエレベーターで鉱石や人員の運搬を行う施設です。

 

立坑はこの他にも、地下の坑内で利用する削岩用の水や圧縮空気の配管や高圧電線、非常用の避難通路(つまり非常階段)なども兼ねています。

 

立坑の上部には、ケージを吊るための立坑櫓(たてこうやぐら)がそびえ立ちます。鉱山の真ん中に立ち尽くす巨大な立坑櫓は、まさに鉱山の象徴です。福岡県志免町に残る志免炭鉱や、北海道三笠市の奔別炭鉱の立坑櫓は、その独特の景観が有名で、国や地域の産業遺産として大切に保存されています。

 

旧志免鉱業所・竪坑櫓(福岡県志免町)

 

旧住友奔別炭鉱立坑櫓(北海道三笠市)

 

さて弊社の立坑櫓ですが、とても小さくていかにも零細鉱山らしいものですが、設備や仕組みはまさに立坑そのものの本格派です。私が聞いたところによると、福島県の常磐炭鉱が閉山した際に、先々代の社長が設備一式を買い付けてきたようで、鉱山施設の施工を手がける大手工営会社に設置してもらいました。昭和52年ごろのようで、意外と新しいです。

 

弊社の立坑櫓と巻室

 

弊社の立坑ケージは、一見古くさく見えますが、現在も使用中です。といいたいところですが、実は問題が…。
そんなわけで、これから数回に分けて、弊社の立坑について書いていきます。

 

次回は、立坑の仕組みなどもご紹介します。